木づくりの家
緑と海、心地よい風の抜ける葉山の敷地に建てられたのは、夫婦と子供二人のための住宅である。求められたのは、どこにいても家族の気配を感じながら、のびやかに暮らせる天然住宅。大きな吹き抜けをつくり、そこを介してリビングや二階の読書スペースからは神社の緑を楽しむ事ができ、この吹抜けで家族の気配がつながり、風が抜け、空からは光が差し込む。玄関からは、この吹抜け越しに空を望むことができる。また夫婦は子供部屋をつくるのではなく、大きな空間の中に夫婦二人の主寝室をつくり、夜はそこに夫婦がこもることでその他のスペースを子供たちに自由に開放できる、そんな空間を望んだ。これらはご主人の幼少期の記憶である。ご主人の育ったご実家にはそんな住まいをとても愛するお父様が暮らしている。理想の家を見てほしいとの話しで伺ったご実家では、築数十年を経た愛家の良さを3時間以上にわたりお父様が語ってくれた。この住まいはそんなお父様の住まいを模して計画された。また、この住まいは天然住宅を目指し、のりには膠(にかわ)や米のりが使われた。もちろん合板やべニア材は一切使わずに、材料はご主人のお兄様の働く三重県の材木店より運ばれた。構造材はプレカットをせず、手刻みにて加工された。柱や梁、一本一本に大工の想いが刻まれたこの家を、30年40年後、ご主人がその良さを誰かに語っている事を期待している。
- 用途
- 住宅
- 概要
- 新築
- 場所
- 神奈川県葉山町
- 完成
- 2015年7月
- 設計
- 前田工務店
- 施工
- 前田工務店
- 写真
- アーキノロヂオ