都筑の家
■要望
要望頂いたのは、自分たちの「好き」をどんどん増やせいていくことのできる箱が欲しいという事。世田谷ベースのように好きなものをどんどん増やして行きたいという要望を頂いた。この家は横浜市の郊外に建つ。敷地は幹線道路から一本入ったところにあり、周辺には山や緑もある。穏やかな空気が流れる場所にこの家は建つ。1階は外の庭兼、駐車スペースと連続するようにコンクリート土間を設置。この土間スペースは玄関の機能も兼ね備える。玄関にはご主人の愛車であるオートバイや外で使うお気に入りのもの達が並ぶ予定。その先には階段下スペースを利用した、熱帯魚を鑑賞できる場所がある。その対面は当初創作をする作業台を予定していたが、施主様の要望によりキッチンへ変更。事例写真はキッチン設置前の写真。その先には音楽を聞くことのできるスペースがある。音の反響を防ぐ為に上部は有効ボードとなっている。土間スペースを見上げたところには、高さを抑えた寝室スペースがある。部屋の高さは1m40㎝。立って過ごすスペースとしては機能しないが、横になって過ごす寝室としては十分な機能を満たす。この寝室は玄関ホールと音楽室に面しており、大きな開口を設けた。それにより天井高を抑えた居場所でありながら、大きな空間に対しての抜けが確保されている為、ちょうどいい大きさの心地良さを味わう事のできる居場所となっている。2階には浴室、洗面、トイレ、クローゼット、ご主人書斎、奥様専用の部屋が並ぶ。1階は好きな事を存分に楽しむ事ができるオープンな場所となり、2階は各個人の時間を楽しむ事ができるスペースが立ち並ぶ、閉ざされたスペースとなっている。2階階段上部には高窓を設けた。窓台に少し奥行きを取ったのは、猫の居場所をつくる為である。自分たちの好きな時間を整理し、必要な場所をつくる。家族や友人と過ごす開放的な場所と、個人の時間を楽しむ閉ざされた場所。相反する場所も家の中には必要である。自分たちでどんどん仕上げていける住まいを求めるという要望に応える為にあえて仕上げはラフな状態で終えている。ただ仕上げないというのは、通常隠れてくる部分が全て露出されてくるという事である。通常隠れてしまうところが露出してきても、綺麗な空間として見る事ができるのは、大工さんに技術があるから。電気屋さん、設備屋さん、基礎屋さんに、技術と想いがあるからである。この住まいの完成を通じて、施主様にはもちろんだが、改めていつも私達の現場を形にしてくれている職人ひとりひとりに感謝をする事ができた。いつも見えないところも丁寧に作り続けているからこそ、実現する事ができた。この空間に施主様の「好き」が加わり、どんな空間に育っていくのか。楽しみで仕方がない。
- 用途
- 住宅
- 概要
- 新築
- 面積
- 敷地100㎡ 延床面積70㎡
- 場所
- 神奈川県
- 完成
- 2020年2月
- 設計
- 前田工務店
- 施工
- 前田工務店