座間の家
この住宅は神奈川県座間市の住宅地に建つ。古屋が解体され、元々はひとつの敷地であった土地が2つに分割され販売されていた。小学校に通うお子様の学区圏内で駅徒歩圏内という条件で探されていた土地はなかなか見つからず、手に入れたのは2m専用通路のある旗竿地である。住宅密集地の旗竿地は敷地に立つと、近隣の住宅が押し迫り若干の息苦しさを感じるほどの敷地であった。
お施主様が前田工務店を選んでくれたのは窓が気持ち良いということであった。いくつかの完成物件をご覧になっていただき、どのお家にも存在するその心地よさを気に入っていただき、ご依頼をいただいた。3姉妹とご夫婦の5人で暮らすこの住宅にご主人様が求めたのは休日に、楽しむお子様を気にせずにゆっくりと過ごせるリビングスペース。奥様はご友人を自宅に招いて気軽にランチができる住まいを希望した。どんな敷地でも心地の良い別荘のような居心地にするのが、前田工務店の家づくりである。敷地の条件は決して良いものではないが、その中で敷地の持つポテンシャルを最大限引き出せる住まいにするべく、建物のボリュームを敷地目一杯、南側に配置した。南側に配置することで東西からの光を確保しつつ、北側に開いた庭をつくりだした。北側には近隣の住宅が当然に建つが、当該建物側に庭があり、この建物も北側に開くことでお互いにとってそのスペースを視覚的により広く使える事ができる状況を試みた。視線を遮るために植えられた植栽は成長とともに、どちらのものとも言えない雰囲気でお互いのパーソナルスペースをつくり出してくれる。室内はそれぞれのスペースを確保しながらも、家族の気配が感じられる空間とするため、建具が極力取り払われた。奥様の求めるキッチンはクローズ、ご主人様が求めるリビングは子供たちと緩やかに距離感を保てるスペース。それぞれを単独で形にしてしまうとスペースが限定されてしまい、家族の空気感までもが遮られてしまうため、居場所としてのこもり感は確保しつつも全体の空気は繋がる空間となるよう意識をした。1階にキッチン、ダイニング、洗面、浴室。2階にリビング、子供スペース、寝室。それぞれの居場所は家族間のプライバシーを守りつつも、家の中を流れる空気を共有することで家族の気配を感じることができる別荘のように心地よい住まいが完成した。
- 用途
- 住宅
- 概要
- 新築
- 場所
- 神奈川県座間市
- 完成
- 2018年8月完成
- 設計
- 前田工務店+成島建築設計
- 施工
- 前田工務店
- 写真
- 山内紀人