夫婦の家
神奈川県の郊外に建つ「夫婦の家」駅から少し離れた閑静な住宅街に60代ご夫婦の終の住処としてこの家は建て替えられた。敷地は東西に道路が面しており、東側には道路との高低差が2.5m程ある。きっかけはお風呂の寒さなどをお感じ、今後の二人の健康を考えて建て替えをご決断された。ご夫婦はもともと別のハウスメーカーにて家づくりを進めていたが、図面だけだと分かりづらい、できない事が多い、安っぽいなどを理由に、それらを解決できる別の建築会社を探している時に弊社に見つけ、依頼を頂いた。求められたのはご夫婦がそれぞれ自分の好きな時間を過ごす事ができる住まい。ご主人様は長年、定年後はこの地で家を建て替え畑をやりながら過ごしたいと考えていた。またご主人はもともと鉄道関係の仕事をしており、大人一人が乗れる汽車づくりをしたいと考えていた。奥様の趣味は裁縫。ご要望を満たすために検討をしたのは敷地に対する建物のボリュームと建物配置であった。敷地は小さくなかった為、平家建てにする事もできたが、それでは畑ができなくなってしまうため、二階建てを検討。また室内から眺める庭に開放感が最大限活かせる建て方を検討した。東の道路面は敷地よりも道路が下がっているめた、プライバシーを確保しやすく、畑の野菜には朝日が良いという事を知り、庭は南北に伸びる東側に配置することにした。南側に庭をつくり、建物を南に向けることも出来たが、そのような建て方をしてしまうと、建物には日が入るが、庭は目の前の建物の影になってしまう。南側の近隣敷地は下がっており、通常よりは光が当たりやすい環境ではあったが、畑の環境と室内からの開放性を最大化するために、建物を南北に伸ばし東側に畑を配置する事にした。このエリアは地区条例で近隣同士の暮らしが豊かになるよう様々な条件が定められいた。東側に庭を配置させる事で北側にある近隣住居にも、以前にもまして光が届くようになり、結果ご夫婦の要望を叶える配置は同じ地域に暮らす、近隣住民の暮らしをも豊かにするものとなった。庭にはご主人の作る、大人一人用汽車の試運転用線路の設置が予定されている。一階の畑に面して設けられたコンクリート床のご主人様の作業スペースは、玄関にも隣接している。奥様の作業スペースは西側に広がる大山を望む事ができる。どこか昔ながらの懐かしさを求められていたご夫婦には杉の外壁を提案した。杉の外壁は日々の風、光、気候により経年変化をしてくれる。ご夫婦二人の様々な時間がこの住まいに変化を与え、心地の良い時間の積み重ねが時を経て美しい彩になってくれる事を期待している。
- 用途
- 住宅
- 概要
- 新築
- 面積
- 敷地212㎡ 延床面積104㎡
- 場所
- 神奈川県
- 完成
- 2020年2月
- 設計
- 前田工務店
- 施工
- 前田工務店