亀井野の家
ご夫婦二人、がひっそりと自分たちの好きな事をしながら暮らす為の土地を探し、手に入れた敷地は、神奈川県藤沢市、小田急江ノ島線の線路沿い。線路は敷地よりも高くなっているせいか、電車の音は気にならない。線路と敷地の間には行政の管理する緑。春には満開の桜越しに電車が通過する。道路から2mの専用通路を抜けた先にひっそりと二人の家は建つ。お二人が家づくりをはじめたきっかけは、猫カフェに訪れた時、自分たちも猫と共にゴロゴロとリラックスをしながら、漫画を本を楽しめる、そんな空間を手に入れたい。そう思ったことが家づくりのきっかけでした。猫が家の中で自由に自分たちの居場所を探し、人も気分に応じて自分たちの居場所を定め、それぞれの時を過ごす。お二人は本が大好きで通常では考えられないほどの本があり、本と猫に囲まれて穏やかな時間を過ごしたいというのがご要望でした。また家の中の荷物はなるべく見えている方が落ち着く、隠すよりも自分たちの好きなものであふれ、それらが見えている方が良いという事でした。ご主人様は週末の男料理が楽しみな時間で、気分によってはプラモデルも作りたいと、とにかく自分たちの好きな事はとことん突き詰めて楽しむのがご主人様流。好きな事をちりばめて居場所をつくるこの家のテーマは“猫と過ごす図書館”たで決まり、お二人の好きを詰め込むための秘密基地づくりが始まりました。ご要望に応えるため、家中の壁を面本棚に。壁と本棚を兼ねる事で、本棚を後から設置する必要はなく、本が増えても家具を増やす必要が無くなりました。なるべく多くの壁面を本棚として利用可能とする為、断熱材は外断熱を採用。外断熱を採用する事で、通常は断熱材を隠すために施工される室内の外壁面の壁がオープンとなり、より多くの本棚スペースを確保しました。また様々な趣味に対応するための様々な居場所をつくりました。プラモ部屋、書斎、ゴロゴロする窓際、テレビを見る場所、寝る場所、荷物を隠す場所。それらの居場所をつくる際、すべてを閉じてしまうと全ての部屋に閉鎖感が生まれてしまう為、塗料の匂いなどが出るプラモ部屋を除き寝室からキッチン、ダイニング、リビング、ゴロゴロスペースまでつながっていても良い空間は空気をつなげ、程よく、壁や本棚を配置する事で空気や気配がつながっていても、それぞれの居場所を楽しむ事ができる空間を実現しました。先日お施主様のFacebookで猫が窓際で寛ぐ姿を拝見し、居場所の完成を確信しました。インテリアでは、大正ロマンが好きだというお二人のご要望に応えるため、古い家の欄間をキッチンとダイニングを挟む開口にさりげなく配置。好きなものに囲まれて、好きな時間を過ごす、家というよりも大きな家具のような、大人の秘密基地のようなこの家。好きな時間をこれからいくつも迎える事で、どのように成長していくのか、楽しみでなりません。
- 用途
- 住宅
- 概要
- 新築
- 面積
- 敷地 118㎡(35,70坪)
延床面積 75㎡(22,69坪) - 場所
- 神奈川県亀井野
- 設計
- 前田工務店+あおいも
- 施工
- 前田工務店
- 写真
- 山内紀人