福田の家
大和市郊外に建つこの家は娘様三人の5人家族の為につくられた。もともと新築戸建で暮らしていたが、娘様の習い事であるバスケットボールの都合で引っ越しを決意。良さそうな土地が見つかったが、工務店が決まっていないと弊社に問い合わせを頂いた。私達のつくる家づくりの想いに共感を頂き、一緒に敷地を見に行くことに。その敷地は目の前の川越に、娘様の通う学校のバスケットコートが見える敷地だった。娘様は学校をいずれ卒業をしてしまうが、学校のグラウンドを見渡す景色は将来も確保されていることが約束されている。新しい分譲地には同時期に建てられる住まいが立ち並ぶ。そんな環境にこの家は建てられた。ご家族が求めたのは、みんなで食事を楽しめる外部スペース。そして家族それぞれが、各々の時間を楽しむ事ができる居場所と空間のつながり。ご主人様はご自身の時間を気ままに過ごせるおこもりスペースを希望された。外とつながるみんなの屋外スペースを確保する為にLDKは2階に配置した。屋外スペースの先にはバスケットコートを望むことができる。約10畳ほどの外部スペースは食事をしながらプロジェクターを楽しむ事もできる。外部スペースはフルオープンになるサッシを引き込むとダイニングキッチンと大きくつながる。近隣住宅の高さを考慮して屋外空間の壁の高さを決定しているため、隣接している近隣住居を気にする事なく、ダイニングキッチンからは大きな空と外の空気を楽しむ事ができる。キッチンには奥様からご要望を頂いたパントリーを設置。パントリーの壁は空間のつながりを持たせる為に、天井までは伸ばさずに途中で止めている。キッチンは外部空間、ダイニング、リビング、サブスペースとその先にある外の景色までを楽しめる特等席となっている。女性が笑っていられる住まいは豊かになると感じている私達は、特段のご要望がない限り、こうして奥様の長くいる場所を特等席にする事が多い。ダイニングとリビングには段差を設置。この段差がある事で1階に配置した子供室の気配を2階にいる人が感じる事ができるようになっている。ダイニングからリビングへ下りる階段までフルオープンのサッシを伸ばしているため、解放された窓に肘を付き、この階段に腰を下ろすと立ち上がるのが嫌になる程の心地よさがこの階段にはある。ダイニングから一段下がったリビングは2階のどの部屋よりも天井高が高い。一方で部屋の幅を調整することで、開放感がありながらも、どこか落ち着く雰囲気の居心地となるよう計画をした。リビングの横にはサブスペースがある。ひと続きの大きなリビングにもできたが、あえて段差をつけ、壁と設けて別の居場所となるよう計画をした。この段差がある事でリビングに落ち着きが生まれ、サブスペースに入り込むとまた別の居心地を感じる事ができるスペースとなっている。大きなひとつの空間も魅力的だが、こうして間仕切りをあえて設置することで、家族がそれぞれの時間を自由に楽しむという場合に有効だ。このサブスペースからは学校の緑、バスケットコート、綺麗な夕焼け空を楽しむ事ができる。1階には水回りと寝室、クローゼットがまとめられている。玄関を入り階段へ向かう途中、娘様三人のローカー室的なクローゼットを配置した。この場所には三人のユニホームが並ぶ。娘様3人の部屋ははじめはひと続きで使用。後から仕切ってそれぞれの個室と変化できるように計画をした。天井高を高く取り、上段スペースにベッドスペース、下段スペースはお子様の勉強スペースとなるようにした。この家の1階の間仕切りの多くを非耐力壁として、家具工事として壁を造作した。三人の娘様が巣立った後に、用途に応じて部屋を可変できるようにした方が良いと思ったからだ。家族それぞれの居場所でそれぞれの時期、時間を過ごし、家族の気配はどこにいても家の中に伝わっていく。おおらかで居心地の良い住まいが完成した。
- 用途
- 住宅
- 概要
- 新築
- 面積
- 敷地120㎡ 延床面積94㎡
- 場所
- 神奈川県
- 完成
- 2020年5月
- 設計
- 前田工務店
- 施工
- 前田工務店